ごましお(@okowa1215)です。
私はインデックス投資家として「新NISAではオルカンを!」と常々言っています。
インデックスファンドと比較すると、アクティブファンドの実に8割以上がリターンにおいて負けているからです。
特に初心者の人にはアクティブファンドではなくて、インデックスファンドを。
その中でも極めてコストの安い「オルカン」をおすすめしています。
しかし、ここに来て不都合な真実があきらかになってしまいました。
日本の投資信託においては、過去20年間のリターンを比べてみると、上位10位までは全てアクティブファンドだったと言います。
どういうことなんでしょうか?
天下の日経新聞の記事です
20年以上運用実績のある投資信託の過去のリターンを比較した結果、上位10位は全てアクティブファンドだったという衝撃の記事は天下の日経新聞のものです。
⇧記事によると、2024年4月30日現在の20年間のリターンを比較しています。
主に米国株式のアクティブファンドが大半を占める状況に。
知らないファンドばかり。。
ほとんど知らないアクティブファンドです。
というか一つも知りませんでしたw
首位のゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」(通称:ネットウィン)は20年間で1225.4%のリターンを叩き出しています。
20年間で約13倍になったということです。
このファンドは購入時手数料3.3%、信託報酬2.09%という、アクティブファンドの王道を行く高コストファンドです。
10位のフィデリティも約6.5倍になっていて、ここまでインデックスファンドは一つもランクインしていません。
これらの米国株式ファンドを含め、今回のランキングの上位10ファンドはすべてアクティブ型だった。新NISAでは米国や世界の株価指数との連動を目指すインデックス型(指数連動型)が人気を集めているが、過去20年の運用成績ではアクティブ型の健闘が目立った。必ずしも将来そのままのパフォーマンスが保証されるわけではないが、実績のあるアクティブ型に目を向けてみるのも一手だ。
新NISA成長投資枠、20年リターン上位は?
記事の締めには⇧こんな文章が!
くっ!!
インデックス投資家としてはとっても残念な結果です。
ネットの反応は?
この記事を見たネットの反応を確認してみました。
- 成績の良いファンドを事前には見抜けない!
- インデックスは平均を取る投資方法だから仕方ない!
- そもそも20年前には優秀なインデックスファンドがなかった!
- こんな雑音はインデックス投資家は無視しましょう!
といった反応が多い感じです。
うんうん、わかります!
私もインデックス投資家の端くれです。
こうやってデータを示されると悔しいんです。
インデックスが最高だと思っているのがインデックス投資家。
平均点を取るのがインデックス投資ですから、せめて10位以内にインデックスファンドがあれば。。。
そう思っているインデックス投資家の気持ち、よ~くわかります!!
反撃開始!!
その悔しい気持ちをバネにして、反撃を開始しますw
ランキングの分母が不明
まずそもそもこのランキングは、
2024年1月から始まった新NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠で購入できるファンドに対象を絞り、同4月末時点の20年リターン(分配金再投資ベース)をランキングしてみた。
新NISA成長投資枠、20年リターン上位は?
と記載されています。
成長投資枠では、つみたて投資枠で購入できる投資信託も当然購入できます。
ですので、このランキングには「つみたて投資枠で購入できる商品が含まれている」とみなせますが、だとしたら「新NISAで購入できる」と記載するような気がします。
とにかく、ランキングの元になる分母が明確ではありません。
もしかしたら、敢えて「つみたて投資枠で購入できる商品」を抜いている可能性もあります。
もっと重要なこと!
このランキングのリターンの計算方法についてです。
この20年リターンは明確に「分配金再投資ベース」と記載されています。
この「分配金再投資ベース」ってのがくせものなんです。
分配金再投資ベースって?
分配金再投資ベースとは、基準価額(投資信託の金額です)を表す際に使われる指標です。
分配金再投資基準価額、修正基準価額なんて言われたりします。
⇧こちらのダイワの資料に詳しく買いてありますが、
「収益分配金(税引前)を決算時( = 分配金支払い時)にファンドへ再投資した」とみなして修正した基準価額です。「修正基準価額」と呼ぶ場合もあります。
各々分配方針が異なるファンドの運用成績を比較しやすくするために分配金再投資基準価額が使用されます。収益を決算時に分配すると、払い出した金額だけ純資産が減少しますから、基準価額は下落することになります。そのため、分配方針が異なるファンドを比較する場合は、収益分配の影響を除く必要があります。
実際には支払われてファンドから流出した分配金を再投資した、つまり「収益分配による純資産の減少を理由とした基準価額の下落」がなかったと仮定して、お互いの成績を比較するものです。
※分配金再投資基準価額は、あくまでも運用成績を比較するための試算に使われるのであって、これらの数字の比較をしても、受益者( = ファンドの保有者)の収益率とは一致しないことに、注意が必要です
ダイワ 分配金再投資基準価額( = 修正基準価額)
簡単に言うと、分配金を出すファンドも分配金を再投資したと仮定して計算した基準価額のことです。
これが問題の根源だと思います。
どーゆーこと?
実際に多くのアクティブファンドでは分配金が支払われます。
今回のランキングにある10のファンドのうち、実に9つのファンドが過去に分配金を出しています。
分配金はファンドの利益から出されます。
当然、分配金を払うとそのファンドの基準価額は、その分配金の分だけ下落します。
これは、個別の株が配当金を出す場合と同じです。
分配金再投資ベースで計算された今回のランキングは、過去に分配金を出したファンドも、その分配金を再投資したものと仮定して比較されているのです。
何が問題か?
分配金には税金がかかります。
しかし「分配金再投資ベース」で計算する際には、「税引前」で計算することになっているのです!!
しかも、実際に払い出された分配金を再投資しようとすると、買付時手数料が必要になります。
今回のランキングの10ファンドは全て、買付時手数料を3.3%も徴収します!!
その買付時手数料分も無視した価額が、この「分配金再投資ベース」なのです。
これってイカサマです!
どれだけ劣後する?
先ほどのダイワの資料にも、ちゃんとこのイカサマが記載されています。
※分配金再投資基準価額は、あくまでも運用成績を比較するための試算に使われるのであって、これらの数字の比較をしても、受益者( = ファンドの保有者)の収益率とは一致しないことに、注意が必要です
ダイワ 分配金再投資基準価額( = 修正基準価額)
今回ランキング1位になった「netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」(通称:ネットウィン)は、直近で2023年11月に分配金500円を払い出しています。
当然「分配金再投資ベース」であれば、この500円はそのまま500円として再投資されて計算されます。
しかし、実際に私たちが再投資しようとすると、
- 500円の利益に約20%の税金必要 ➡ 400円
- 買付手数料3.3%必要 ➡ 385円
となって、500円ではなくて385円しか再投資できません。
この差は絶大です。
ではどうする?
「分配金再投資ベース」は、分配方針が異なるファンドの運用成績を比較する際に使用される指標です。
ただしこれは運用成績をただ単に比較するだけですので、受益者( = ファンドの保有者=私たち!)の収益率とは一致しません。
では、私たちのリターンと一致させるためには、どうすればよいでしょうか?
実はそれは簡単です。
同じ金額を投資したとして、今現在いくらになっているかを比較すればよいのです。
金額比較
4月末現在を基準として、過去20年間のリターンを計算します。
2004年4月30日に、それぞれのファンドを1万円分購入したとします。
20年後の2024年4月30日に、その1万円がいくらになっているかを計算してランキングにしました。
その結果がこちら⇩です。
どん!!
⇧計算するのに1時間はかかりましたぜw
右端の数字は、今回計算してみたランキングです。
若干の変化が見られます。
1位のファンドは約13倍でしたが、実際に計算してみると9倍ちょっと。
それでも凄い成績ですが、ちょっと減りましたね。
9位のグローバル・ヘルスケア&バイオなんて、分配金を出しすぎて基準価額は20年間で93円しか増えていませんw
当初のランキングでは6.4倍になったなんて言ってましたが、実際には3倍ですw
しかもこのランキングでは、分配金は無税としています。
実際には分配金に20%の税金がかかりますので、このリターンよりも劣後します。
しれっとインデックスファンドをw
赤枠で囲った「インベスコMSCIコクサイ」ですが、20年以上の運用実績があるインデックスファンドです。
信託報酬0.77%とオルカンに比べたら10倍高コストですが、20年以上の運用実績があるファンドの中では最安コストです。
そのインデックスファンドがみごと5位に食い込んでくれました!!
わーい!
インデックス投資家の面目躍如です!!
結果を見てみると、、、
この結果からわかることってどんなことでしょうか?
ランキングの分母は?
今回私が採用したインデックスファンドの20年間リターンは540%でしたので、元々のランキングの10位以内には入れませんでした。
ですから、このランキングに採用されているファンドにそもそもインデックスファンドが含まれているのか?
つみたて投資枠で購入できる商品が含まれているのか?
これははっきりとはわかりませんでした。
どっちなんだい?!日経新聞!!
分配金再投資ベースなんてクソ!
そもそもランキングのベースとなる計算方法が酷いです。
「分配金再投資ベース」なんてのは詭弁です。
実際にはあり得ない数字になっているので、私たち投資家にはまったく意味のないものです。
時間は必要ですが、ちゃんと実際の金額に計算し直さなければなりません。
分配金の影響
「分配金再投資ベース」というのは、そもそも分配金を払わなかったらどうなった?
っていうIFの話でした。
実際には、多額の分配金をファンドから払い出すことによって、複利効果が減少してしまっています。
ランキング1位のファンドは20年間で投資金額1万円当たり、2万円近い分配金を支払っています。
この分配金を支払わなければランキング表のとおり13倍以上になったのです。
如何に分配金が投資家にとって不要なものかわかります。
長期投資家である私たちは、分配金が支払われない「無分配」のファンドを選ぶべき理由がここにあります。
平均点を取るインデックスファンド
インデックス投資は、平均点を取る投資方法です。
インデックスファンドより優れたアクティブファンドが存在するのは、自明の理なのです。
しかし、そのインデックスファンドより優れたアクティブファンドを事前に見抜くことは、(ほぼ)不可能です。
だって、このランキングに入っているようなファンドを知らなかったですもんw
今回、再計算に登場した「インベスコMSCIコクサイ」は、20年以上運用されているインデックスファンドの中でも、コストの安いものです。
それでもオルカンの10倍のコストです。
もし20年前にオルカンが存在していたら!?
2位か3位ぐらいにはなっているんではないでしょうか?
インデックスファンドとアクティブファンド
インデックスファンドは過去20年間と同じように、今後も平均点を取り続けてくれるはずです。
しかし、ここに登場しているアクティブファンドが、今後も良いリターンを叩き出すかは全く不明です。
これからのランキングでは、オルカンやスリムS&P500などが平均点を取るでしょう。
それらの優秀なインデックスファンドよりもリターンの良いアクティブファンドも必ず存在します。
原理的に、事前にそれらリターンの良いアクティブファンドを選べない以上、低コストのインデックスファンドを選択することは常に正解です。
最後に
天下の日経新聞の記事ですから、結構大きなインパクトがあるなと思ってブログで取り上げてみました。
記事中のランキング自体が間違っているわけではありませんが、もともと伝えたいことがあって、それに沿うような結果を出している感がありありですね。
もともとの伝えたいことって何でしょう?
新NISAでは米国や世界の株価指数との連動を目指すインデックス型(指数連動型)が人気を集めているが、過去20年の運用成績ではアクティブ型の健闘が目立った。必ずしも将来そのままのパフォーマンスが保証されるわけではないが、実績のあるアクティブ型に目を向けてみるのも一手だ。
新NISA成長投資枠、20年リターン上位は?
たぶんインデックスファンドばかりが売れて、ニュース等で取り上げられることへの反発でしょうね。
最近の優良インデックスファンドは、極めてコストが安いです。
コストの安さは売り手の儲けを奪います。
ファンドのリターンが良くても悪くても、高コストのファンドが売れれば金融機関側は儲かります。
不確実なことばかりな資産運用ですが、これは確実です。
ですので、天下の○○新聞の記事だから!なんて思考停止になるのではなく、しっかりと自分の頭で考えてみることが重要ですね。
20年後にオルカンが何位に入っているのか?オラ、ワクワクすっぞ!!
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