ごましお(@okowa1215)です。
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2023年度の運用状況を発表しました。
それによると2023年度の収益率が22.67%、収益額がプラス45兆4000億円⇧、運用資産額が約245兆円となったそうです。

最近の株高、円安の影響を受けて過去最高益を叩き出したGPIF。
過去には運用損5兆円を出したために、時の野党から追求されたこともあります。

それでも自ら決めた運用ルールを愚直に守り、強気のポートフォリオを変更しなかったことで、今回の爆益につながりました。
インデックス投資家たる私たちは、この姿勢こそ参考にしましょう!
インデックス投資の教科書を読もう!
GPIFのホームページに行くと「2023年度業務概況書」を無料で読めます。
これは正に「インデックス投資の教科書」なんです。
まだ読んでいない人はぜひ一度読んでみましょう。
GPIFのポートフォリオは?

GPIFの資産構成割合(ポートフォリオ)は国内外の株式と債券の4資産を均等に保有する「4資産均等型」です。
日本株式、外国株式、国内債券、外国債券を25%づつ保有し、一定の割合を超えて変化した場合にはリバランスが行われます。
各資産を60~68兆円も保有しているって、正直言ってすごいですよねw
リバランスで比率を維持

「各資産への配分・回収額」の欄を見てみると、2023年度は国内債券に12.4兆円、外国債券に2.8兆円を追加で投資しています。
反対に国内株式は7.9兆円、外国株式は6.8兆円を売却しています。
これは内外の株式が好況で値上がりした半面、債券が(特に国内債券が)利上げによって値下がりしたためリバランスした結果です。
見事に投資の原則である「高い資産を売却し、安い資産を購入する。」を実践しています。
驚きの低コスト

「管理運用委託手数料額」は年間で470億円。
額だけを見ると「手数料高っ!!」って思うかもしれませんが、GPIFの運用資産額は約250兆円もあります。
比率でみると0.02%ということで、オルカンやスリムS&P500よりも低コストです。
これはやはりスケールメリットと言うべきでしょう。
インデックス投資を中心としているGPIFの運用では、条件を満たした時にリバランスをする以外に頻繁な売買はしないため、無駄な手数料がかかっていません。
この点も私たちが参考にすべきですね。
GPIFはなぜ資産運用してる?
ネットなどを見ているとよく誤解している人がいるんですが、GPIFは我々が支払った年金保険料そのものを運用している訳ではありません。
厚生労働省の資料によると令和3年度末の年金の総額(国がいくら支払ったか?)は、56兆円です。
GPIFの運用資産額がいくら250兆円もあると言っても、毎年50兆円以上も支払ってしまっては5年も持ちません。
GPIFは余剰金を運用中

今現在はまだ年金保険料を支払う現役世代が多いので、お年寄りに年金を支給しても余剰金が生まれています。
しかし将来は確実に現役世代が減少し、その結果年金に不足が生じてしまいます。
その不足分を埋めるためのお金を確保するために、現在の余剰金を運用しているのです。
これが「100年安心」な年金の所以です。
これも誤解している人が多いですが「100歳まで年金で安心」ではなくて、年金制度が100年間安心って意味ですよね。
批判が多いのも確かですが、、、
私のブログを読んでいただいている人には関係ありませんが、そもそも「投資」とか「資産運用」って言葉にアレルギーがある人も多いのです。
自分が将来貰える「年金」が、その「投資」とか「資産運用」で博打に使われている!
なんて(的外れな)批判があるわけです。
投資である以上、良い時もあれば悪い時もあります。

過去の運用利回りが年平均4.24%だったとしても、マイナスになる年もありました。
それでも右肩上がりで資産は増加しています。

ざっくり計算してみると20数年で90兆円が250兆円と、約2.5倍になっています。
これは、先ほども述べたように批判にさらされても、決めたルールを守って運用を継続した結果です。
良い時も悪い時も「ルール通りに!」
GIPFを真似て運用する!?
そんなGPIFの運用方法を真似できる投資信託があります。
iFree 年金バランス
大和AMが運用している「iFree 年金バランス」は、GPIF の基本ポートフォリオに近づけることを目標とするファンドです。
GPIFは5年ごとにポートフォリオの見直しを含む新たな運用指針の策定を行います。
今現在の各資産25%づつの4資産均等型は、2020年4月に以前のポートフォリオから変更されたものです。

2025年4月には、新たな運用指針が策定されて資産構成割合(ポートフォリオ)が変更される可能性があります。
その場合でもこの「iFree 年金バランス」は、新たな割合に合わせて運用をしてくれるバランスファンドです。
信託報酬は0.1749%と、オルカンやスリムS&P500に比較すると若干割高ですが、十分低コストです。
ただし純資産総額が90億円しかなく、まったく売れていない、人気のないファンドです。
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
今現在のGPIFのポートフォリオである「4資産均等型」なら、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」があります。
信託報酬は0.154%と十分低コストですし、純資産総額も556億円あって安心です。
2025年4月にGPIFにポートフォリオの変更があったとしても、現在の4資産均等型から大きく変更することは想定できません。
ですので、このニッセイのファンドは「疑似GPIF」として十分有効だと思います。
約9年間の運用で1.8倍高です。
最後に
GPIFは「年金保険料の余剰分を運用することで、将来の年金の不足分を補う。」ことを目的としています。
これって「現役時代にコツコツお金を貯めて運用して、老後資金の足しとする。」という、私たちの資産運用の目的と同じ構造だと思いませんか?
その同じ構造の運用を、世界的に見てもかなり巨額な資金で実践しているのがGPIFなのです。
これを私たちの資産運用の参考にしない手はありません。
重要なのは何があっても「決められたルールを実践すること」。
長期投資家だと言っていた人が、暴落に遭遇した途端に「短期投資家」になってしまったりします。
GPIFの爆益を見てみれば「適切に分散された低コストファンドの長期投資」は常に有効な戦略です。
自信を持って「オルカン」を積み上げて行きましょう!

年金損失『5兆円』追及チームが発足した2016年は約8兆円のプラスでしたw 私たちは長期的な視点を持ちましょうね!
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