ごましお(@okowa1215)です。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)をベンチマークとする2つの投資信託。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):通称「オルカン」
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:通称「楽天・オールカントリー」
これら2つの投資信託は、どちらが新NISAで購入するのに相応しいのか?
最新の2024年6月の月報の内容を確認してみました。
騰落率と純資産総額
騰落率と純資産総額の変化を確認します。
騰落率を確認
楽天オールカントリーの直近1カ月の騰落率がベンチマークに2ポイント負けています。
3ヶ月で見てみるとベンチマークとピッタリですが、この乖離が今後拡大していくどうかはきになるところ。
ちょっと注意しておきたいところ。
ただし、今すぐ問題にするようなものではありません。
しかし、直近半年で26.5%も値上がりしています。
円安&株高で、まさに絶好調ですね。
純資産総額の状況
純資産総額の増加(売れているか?)は、相変わらずオルカンが圧倒的です。
オルカンは1カ月で約4020億円も増加しています。
今年1月が4560億円のプラスでしたが、それに次ぐ増加額です。
これはオルカンを構成している株価の上昇と、160円を超える円安の進行、そして定期的な資金の流入による影響を受けた結果です。
4月末に純資産総額3兆円を記録したオルカンですが、すでに4兆円が見えてきています。
怖いくらいの伸びですw
楽天オールカントリーもコンスタントに200億円の増加を継続しています。
反転下落になると、、
「株価の上昇+円安+資金流入」←これが純資産総額増加の原動力です。
しかしこれが反転してしまったら。
「株価の下落+円高+資金流出」
恐ろしい勢いで純資産を減らすことになります。
コロナショック時を振り返ってみると、オルカンの純資産総額は約181億円から約151億円まで減少。
額は30億円ですが、率でみると16~17%の減少です。
それを現在の3兆8320億円で計算してみると、3兆2000億円程度までの減少です。
6300億円が消えてしまう!って凄くないですか?
いつこの反転が起きるかはわかりませんが、心の片隅に置いておきましょう!
中身の確認(中国の躍進??)
それぞれの投資信託の中身を確認してみます。
国別比率の比較
今回大注目点なのが、国別比率の5位に中国が突如躍り出たことです。
前回まで5位だったフランスはその他に含まれてしまって、比率は不明になってしまいました。
⇧ベンチマークであるMSCI ACWI Index (JPY)
対してオルカンと楽天オールカントリーの国別比率は従来のとおり。
⇧オルカンの国別順位
⇧楽天オールカントリーの国別順位
オルカンと楽天オールカントリーの国別比率を確認すると、10位までに中国の文字はありません。
これはどういうことでしょうか?
中国株は比率どおりに保有していない??
オルカンの最新の投資信託説明書(交付目論見書)を確認してみると、対象インデックスの国・地域別構成比率の欄に中国が3.2%であると記載されています。
そうだとするとフランスやカナダの比率より中国が大きいですから、中国は国別比率ランキングの4位になりそうに見えます。
しかし、重要なことなのですが、実はこの図はオルカンの構成比率ではないのです。
オルカンではなくて、オルカンが連動すると言っている「対象インデックス」の構成比率なのです。
実際の中国株は??
ではオルカンは中国株をどのくらい保有しているのでしょうか?
最新の運用報告書(全体版)を見てみます。
4ページには組入れファンドの比率が記載されています。
中国は新興国に分類されますので、新興国株の比率を確認すると10.2%とあります。
105ページには、保有中の「中国オフショア銘柄」一覧とその比率が確認できます。
⇧中国オフショア銘柄(一部加工済)
これを見ると「中国オフショア銘柄」は新興国株の5.1%だとわかります。
中国関連銘柄はもう一つあります。
86ページを確認すると保有中の「香港銘柄」が確認できます。
⇧香港銘柄(一部加工済)
これを見ると「香港銘柄」は新興国株の23.0%となっています。
中国オフショアと香港の合計がいわゆる「中国株」だとすると、新興国株全体の28.1%を占めていることになります。
新興国株はオルカン全体の10.2%。
その28.1%が中国株だとすると、オルカンの約2.8%が中国になりそうですよね。
だとすると、オルカン国別比率の4位に中国が躍り出そうですが、実際にはそうなっていません。
複雑でよくわかりませんw
オルカン全体の2.8%を占めて4位になっているはずの中国ですが、順位には「中国」の文字はありません。
ちょっと不思議ですよね。
もうちょっと月報を細かく読んでみるとこんな記載が。
細かいので抜粋すると、
新興国株式インデックスマザーファンドについては投資対象銘柄の法人登録地で分類しています。
オルカン月報2p
法人登録地??
先ほどのオルカンが保有する新興国株に含まれる「香港」欄で、最も評価額が高いのは「テンセント・ホールディングス」です。
このテンセント・ホールディングスは中国の広東州深圳市に本拠を置く中国の多国籍企業ですが、登記上の本社はケイマン諸島にあるそうです。
だとすると、中国企業でありながらオルカンの分類上は「ケイマン諸島」、すなわちイギリスに分類されていることになります。
むむむ。
この辺の詳細は複雑すぎるので正直わかりません。
今回はここまでとしますが、最後に楽天オールカントリーの場合を確認してみました。
楽天オールカントリーの場合はスッキリw
楽天オールカントリーの最新月報を確認するとこんな記載がありました。
※業種別構成比率および国・地域別構成比(上位10位)には、ETF(上場投資信託証券)および先物は含みません。
楽天オールカントリー最新月報2p
次の段落で確認しますが、楽天オールカントリーの場合は新興国株の大半がETF(IEMG)で構成されています。
そもそもそのETFで保有している分については、国別構成比率に含めないのですから中国の比率自体が極めて少ないことは容易に想像できます。
採用銘柄の比率
最後に採用銘柄の比率を確認してみます。
相変わらず楽天オールカントリーの1位には、新興国株のETFである「IEMG」が居座っていますが、前回から大きく?減少しています。
やはり、楽天オールカントリーはETFの比率を徐々に減らして、その分を現物株運用に切り替える方針のようですね。
現物株で運用すれば、ETFでは必要だった日々のランニングコストが不要になりますので、全体のコストダウンに繋がります。
これは良い傾向ですね。
また、最近絶好調のNVIDIAですが、前回から大きく比率を高めています。(前回3.74%)
4位以下を大きく引き離して、2代巨頭であるマイクロソフトとアップルに並んでいます。
6月中には時価総額世界1位にも輝いています。
こんな企業に数年前に投資できていれば、今頃は莫大な利益を得ることができたんでしょうが、、、
そんな銘柄を事前に見つけることは出来ないと考えるからインデックス投資をしているわけですが、まあ「オルカンの4%はNVIDIAなんだ」と思って諦めましょうw
2つのファンドの評価は?
さて、最新の月報から2つの投資信託(ファンド)を比較してみる企画なんですが、今回は大半を中国株の扱いを調査することに費やしてしまいました。
その内容は複雑すぎて私ごときではなかなか理解できない部分でもあるのですが、重要なのはこの順位の変化によって何が起きるのか?
常々述べていますが、ベンチマークとの乖離が大きくなると、投資信託はコストと騰落率に影響が出てきます。
今回の変化によって、今後ベンチマークとの乖離が大きくなるのか?
それとも、表面上は乖離があるように見えるが、実際は上手く運用されているのか?
オルカンは2024年4月までの1年間の運用成果を「交付運用報告書」で発表しました。
それによると、年間のコスト(総計比率)は0.11%と極めて低く抑えられています。
また、1年間のベンチマークとの乖離もマイナス0.2%と、極めて小さな乖離になりました。
これはオルカンの運用に大きな問題がないということです。
楽天オールカントリーについては、運用開始からまだ1年が経過していないため、運用に大きな問題があるのかないのか判断できません。
楽天オールカントリーの1年間の運用結果がでるまでは、厳密な意味で2つの投資信託は比較ができませんので、オルカンの勝利としておいて良いのでないでしょうか。
最後に
ランキングに急に中国が登場したことから、いろいろ調査してみましたがなかなか難しいですね。
というか、そんなに細かい話に興味がある人がどれだけいるでしょうかw
まっ国別ランキング5位といっても全体の3%未満ですから、そんなにインパクトがあるわけではありません。
へ~そうなんだ~って思っていただけたら幸いです。
とにかく最近の株高&円安でオルカンの利益ば爆上がりです。
もうちょっとこのまま、楽しい気分が継続すれば良いんですがね~。
オルカンのコスト・総経理率0.11%って100万円分買って年間で1100円ってこと。安っ!!
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