ごましお(@okowa1215)です。
私はいつも「新NISAではオルカンを全力で買うこと」が正解だと思っています。
しかし、そのオルカンについて――間違った認識のなんと多いことか!
今回は、オルカンに関するよくある誤解を正していきます。
オルカンは全世界株か??
「オルカン=オール・カントリー=全世界株」と思っている人、いませんか?
お金の総合サイト!ザイオンラインのこちらの記事では、オルカンの3つの罠と題してこう書かれています。
新NISAで大人気の「オルカン(オール・カントリー:全世界株型の投資信託)」の基礎知識&初心者が勘違いしやすい“3つの罠”を解説!
発売中のダイヤモンド・ザイ8月号は、特集「新NISAで勝つ!【オルカン】入門」を掲載!「オルカン」とは、全世界株(オール・カントリー)型の投資信託のこと。このところ人気が高く、新NISAでも多くの人に買われている。
NISAで大人気の「オルカン」の基本と投資初心者が勘違いしやすい“3つの罠”を解説! 全世界株型とはいえ、6割は米国株でリスクも高め、円高では急落の可能性も
明確に「全世界株型」と書いてありますね。
でも、実はこれ――間違いなんです!
「オルカン」は商標登録されています!
三菱UFJアセットマネジメントは、自社が運用している「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という一商品の略称を「オルカン」としています。
そして「オルカン」は、2022年1月28日に商標登録されています。
したがって、本来この言葉を全世界株型ファンドの一般名称として使うのは誤りです。
ニュースや記事では、このあたりが混在していることが多く、「全世界株の話なのか?」「eMAXIS Slimの話なのか?」混乱しているケースがよく見られます。
親切な記事の場合には、以下のようにきちんと注釈を入れています。
※「オルカン」は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の略称として商標登録されているが、ここでは全世界株型インデックス投資信託の総称として使っている。
さすがお金の総合サイト!
私のオススメはもちろん「正しい意味のオルカン」!
私がいつも主張している「新NISAではオルカン全力が正解!」というのは、「全世界株型を買うべき」という意味ではありません。
あくまで、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という商品を買うべき!という意味です。
このファンドは、長期・分散・低コストの三拍子がそろった優れた商品です。
オルカンは、世界47の国や地域の株式2,688銘柄に投資(2024年8月末時点)。
年間の総経費率はわずか0.11%。
長期保有にふさわしい、まさに理想的な投資信託です。
しかも売れに売れています。
純資産総額は3.9兆円(2024年8月末時点)、7月上旬には4兆円を突破。
きっと数十年後も健全に運用を続け、私たちに利益をもたらしてくれるでしょう!
オルカンは全世界ではなく「米国集中投資」なのか?
オルカンは世界47の国・地域に投資していますが、構成比を見ると62.3%が米国株です。
そのため、次のような誤解を耳にします。
- リスク分散ができていない
- 全世界株と言いながら、実は米国集中投資なので危険
- 米国が衰退したらオルカンも暴落する
でも、ちょっと待ってください。
オルカンは「時価総額加重平均型」インデックスファンド
オルカンは、時価総額加重平均型のインデックスファンド(投資信託)です。
つまり、指数(インデックス)に連動して運用されています。
時価総額加重平均とは、「人気のある株を多く買い、不人気の株は少なく買う」という仕組みです。

2024年8月末時点の世界時価総額上位3社はいずれも米国企業。
時価総額とは「株価×発行済株式数」です。
時価総額が大きな会社というのは、株価が高く、かつ発行している株式の数が多い会社。
株価が高くなるのは、その会社が人気があってみんなが買いたいと思うから。
その3社だけでオルカンの構成比の12%以上を占めています。
だから「アメリカ集中」と見えるのです。
でも、オルカンの中身は日々変化する!
でも、重要な点は時価総額は日々変化しています。
例えば「エヌビディア」。
アメリカの半導体メーカーですね。
2023年12月末にはオルカン内の比率は1.7%でしたが、2024年8月末には3.7%まで上昇しています。
人気や時価総額の変化によって、構成比も自然に変わるのです。

今アメリカが強いだけ!?
「オルカンの中身の60%以上がアメリカ株だ!」
ってことだけを聞くと、常にアメリカ株が60%以上を占めているように思ってしまうかもしれません。
しかし、オルカンの中身は常に変化しています。

画像元:Global Investment Returns Yearbook 2024
☝この図は1899年から2024年までの世界の株式市場の変化を表しています。
2024年現在、世界の株式市場の約61%を米国が占めていますが、1899年当時はわずか15%。
当時はイギリスが24%でトップでした。
つまり、時代によって全世界株の構成は大きく変化するのです。
オルカンもその変化に合わせて自動的に組み換えられるため、「米国集中」に見えるのは今だけかもしれません。
話題のインド株が少なすぎる??
14億人を超える巨大な人口を抱え経済成長が著しいインド。
その将来性のあるインド株もオルカンの中には含まれています。
しかし、インド株の比率はわずか2%(2024年8月末)。
このインド株もオルカンに関する間違いが多いところです。
- 将来の成長が期待できるインド株の比率が低すぎる!
- もっとインド株の比率を増やすべきだ!
- オルカンだけではインドの成長を享受できない。
- オルカンの他にインド株の投資信託を購入すべき!
これってどう考えればいいのでしょうか?
オルカンは世界の現状をただただ表す。
オルカンは先ほども指摘したように、時価総額加重平均型のインデックスファンド(投資信託)です。
このインデックスファンドの特徴は、今現在時価総額が大きい銘柄をより多く保有していることです。
すなわち、現在の世界の株式バランスをある意味そのまま表しているのです。
もし、時価総額が大きな銘柄に比重を置くことなく、すべての国のすべての銘柄に均等に投資したらどうなってしまうでしょうか?
ここに私(ごましお)が設立した「ごましお株式会社」があるとします。
従業員数5人の小さな会社ですが、無事に株式上場を果たしオルカンに採用されたとします。
その時の時価総額はとっても小さいのですが、すべての銘柄を均等に投資するためにアップル社と同じ金額になるまでわが社の株を購入します。
まったく世界的には無名な「ごましお株式会社」。
将来的に成長するのかどうかも不明ですし、アップルのように莫大な売り上げや純利益があるはずもありません。
そんな株が多量に含まれている投資信託を買いたいと思うでしょうか?
私だったらそんな投資信託は絶対に買いませんw
投資信託を多くの人に買ってもらって、長期に渡って運用していくためには、ちゃんとした基準に基づく必要があります。
それが現在(世界の中で)人気があり、力のある銘柄をより多く保有するという時価総額加重平均型ファンドの基準なのです。
成長著しいインド株も株式市場のパワーバランスから見たら、今現在は2%しか占めていないということです。
インド株投資信託を追加で買うべき?
オルカンの比率に納得できず、別途インド株ファンドを購入する人もいます。
もちろんその人の考えがあってやることですから、そのこと自体を否定するつもりはありません。
しかし、オルカンのようなインデックスファンドの組み入れ比率に疑問を持って、インド株の比率を高くするという発想は極めて「アクティブな発想」だと指摘しておきます。
既存のベンチマークに連動するインデックスファンドより多くの利益を上げることを目的にして、その比率を変更して組成されるファンドのことを「アクティブファンド」と言います。
私のようなインデックス投資家からすると、アクティブファンドは歴史的にインデックスファンドに多く負けているというのが常識です。

↑過去15年間で見てみると、米国でS&P500(インデックス)に負けたアクティブファンドは、実に87.98%もあります。
なぜアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないのでしょうか?
それはコストが高いからです。
インド株投資信託のコストは高すぎる!
2024年7月30日の日経デジタルによると、

インド株ファンド1位の「HSBC インド・インフラ株式オープン」は購入手数料3.85%、信託報酬2.09%というボッタクリ仕様w
一方、iFreeNEXT インド株インデックスでも信託報酬0.473%、オルカンの約8~9倍のコストです。
2024年3月の交付運用報告書(1年間の運用報告)を確認すると、費用明細の比率は脅威の1.383%です。
これではオルカンの総経費率の10~12倍になってしまいます。
インドの驚異的な成長によって、インド株の成績がオルカンの10倍良ければ正当化できますが、多分そうはならないのではないでしょうか?
成長に応じて比率は「自動的に」増える
インドが世界経済で存在感を増せば、その分オルカン内の比率も自動的に増加します。
しかも、私たちは追加コストを払う必要がありません。
オルカンを持っていれば、低コストでインドの成長を取り込めます。
これを聞いて、それでも高コストなインド株ファンドを買いたいと思いますか?w
無批判にオルカン礼賛ではない!
ここまで読むと、私が盲目的にオルカン推しに見えるかもしれません。
でも、そうではありません。
オルカンはあくまで一企業が運用する一商品です。
運用に失敗するリスクもゼロではありません。
だからこそ、投資家である私たちは、このファンドがきちんと運用されているかを常にチェックする必要があります。
私は「徹底比較シリーズ」で、同じベンチマークに連動する「楽天オールカントリー」と比較して、オルカンを検証しています。
現時点では、オルカンにはまったく問題はありません。
しかし将来、もし世界のインド株比率が10%なのにオルカンが8%しか保有していない、そんなことが起きたら――私たちが指摘すべきです。
投資家と運用会社が緊張感ある関係を保つ。
それこそが、長期で信頼できるファンドを育てる道です。
まとめ
今回は、オルカンに関するよくある誤解を解くことで、インデックスファンドとインデックス投資の本質をお伝えしました。
インデックス投資は10年、20年、あるいはそれ以上の長期戦です。
その長期間に耐えうるファンドを選ぶことが、何より重要なのです。
ネット上には今でも誤った情報が多く存在します。
自分の資産を託す投資信託ですから、ぜひ一度、ゆっくりと考えてみてください。

昔から投資している人からすると、「オルカン」ってひとつの理想形なんです。
そのことが少しでも伝われば幸いです!






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