ごましお(@okowa1215)です。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)をベンチマークとする2つの投資信託。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):通称「オルカン」
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:通称「楽天・オールカントリー」
これら2つの投資信託は、どちらが新NISAで購入するのに相応しいのか?
最新の2024年7月の月報の内容を確認してみました。
騰落率と純資産総額
騰落率と純資産総額の変化を確認します。
騰落率を確認
直近1か月の騰落率がマイナス5.5%と、ここ最近では久しぶりのマイナスとなりました。
7月は主にドル円相場が大きく円高に振れました。
7月のドル円相場は、1ドル162円から一気に1ドル150円まで12円近く円高になっています。
変動率で見ると-7.4%!!
同じ時期にドル建てのACWI(オルカン等のベンチマーク)は約1.5%上昇していますが、すべて為替の変動で食われてしまいました。
これが海外資産を円建てで持つ怖さですね。
オルカンや楽天オールカントリーの日々の価額は、常に「株価×為替」だということを忘れないようにしましょう。
純資産総額の状況
純資産総額はなんとか増加になりましたが、悲しいぐらい減ってしまいました。
特にオルカンは6月の1か月で4000億円以上増加していたのにも関わらず、7月は70分の1以下です。
これは資金流入(買われている)の減少もありますし、円高の進行で価額が低下した結果でもあります。
オルカンの価額は7月11日に史上最高値の27282円、純資産総額も4兆1031億円でした。
それが7月末では価額で約9%、純資産総額で約7%のマイナスで、それぞれ25027円・3兆8374億円となってしまいました。
特に新NISAが始まった2024年1月以降で考えると、ほぼ初めての大きな下げです。
その後の8月初めの日経平均株価の暴落も相まって、もしかしたら狼狽売りしてしまった人も多かったかもしれません。
長く資産運用をしているとこんな時期は何度でも訪れるものですが、初めて経験した人にとっては恐怖だったのではないでしょうか?
中身の確認
それぞれの投資信託の中身を確認してみます。
国別比率の比較
前回大注目点だった、国別比率の5位の中国ですが消えてしまいましたw
代わって前々回まで5位だったフランスが見事に復帰しています。
⇧ベンチマークであるMSCI ACWI Index (JPY)
オルカンと楽天オールカントリーの国別比率はもちろん従来のとおり。
⇧オルカンの国別順位
⇧楽天オールカントリーの国別順位
6月末の中国の躍進はなんだったのでしょうか?
採用銘柄の比率
採用銘柄の比率を確認してみます。
相変わらず楽天オールカントリーの1位には、新興国株のETFである「IEMG」が居座っています。
比率も前回から変わっていません。
また、ベンチマークとの乖離が大きくなった銘柄も目立ちます。
(乖離率が大きいものは赤字にしてみました。)
やはり急激な価額や純資産総額の減少が起こったために、連動がうまくいっていないものがあるようですね。
ベンチマークに連動してこそ!
この辺りがインデックスファンド運用者の腕の見せ所と思っています。
インデックスファンドは市場が急落した時に、それにあらがって急落を免れてはいけません。
あくまで市場の急落に連動して同じように急落するのが「良いインデックスファンド」なのです。
なぜか?
それは、私のように相場の急落を虎視眈々と狙っている投資家がいるからです。
急落時は安値で株を仕込む良い機会なのですから、ちゃんとベンチマークに連動して急落してくれないと安く仕込めません。
ここが市場の変化にあらがって利益を上げようとするアクティブファンドと、あくまで市場の変化そのままを体現するインデックスファンドの大きな違いです。
インデックス投資家である以上は、相場の急変はチャンスと思うべしです。
全世界株の最新ニュース
MSCIは、ACWI指数の組入銘柄の入れ替えを発表しました。
(ACWIはオルカンと楽天オールカントリーのベンチマークです。)
MSCI・ACWIは年に4回、2月、5月、8月、11月に銘柄の見直しを行います。
特に大規模な見直しは5月と11月に行われます。
MSCI・ACWIに採用される基準は次のように定められています。
銘柄の採用基準は主に時価総額と流動性です。時価総額が大きく、取引が活発な銘柄が優先されます。また、浮動株比率(市場で自由に取引できる株式の割合)が高い銘柄が採用されやすく、低い銘柄は除外されることがあります。
入れ替え銘柄は?
指数に採用された銘柄は、資金の流入期待で株価が上がる傾向があります。
今回の入れ替えは8月31日の終値で実施されますが、すでに株価が急伸している銘柄もあります。
オルカンや楽天オールカントリーを保有している投資家として気になるのは、除外される銘柄による価額への影響ではないでしょうか?
例えば今回の入れ替えで、日本株では次の6銘柄が除外されます。
- 日産化学
- NIPPON EXPRESSホールディングス
- 小糸製作所
- 近鉄グループホールディングス
- ヤマトホールディングス
- 野村不動産マスターファンド投資法人
これらの銘柄をどれくらい保有しているのかを、最新の運用報告書で確認してみました。
割合は4月25日時点の純資産総額(3兆901億円)で計算しています。
銘 柄 | 評価額 | 割 合 |
---|---|---|
日産化学 | 201,776,000円 | 0.0065% |
N・EXPRESS | 170,952,000円 | 0.0055% |
小糸製作所 | 129,047,000円 | 0.0042% |
近鉄グループ | 218,433,000円 | 0.0071% |
ヤマト | 159,456,000円 | 0.0052% |
野村不動産 | 132,508,000円 | 0.0043% |
合 計 | 1,012,172,000円 | 0.0328% |
6銘柄で約10億円を売却することになりますが、それは全体の0.03%ちょっとに過ぎません。
純資産が3兆円もあると、大きなインパクトにはなりませんね。
インデックスファンドが連動できるか?
このように指数を計算しているMSCIでは、定期的に基準に即して銘柄を入れ替えることによって、市場の変動や企業の成長を反映した信頼性の高い指数を維持しているんですね。
そして私たち投資家にとって重要な点は、このように常に変化しているベンチマークに、オルカンや楽天オールカントリーのようなインデックスファンドがちゃんと連動できているのか?です。
MSCIが一定の基準で計算したACWIという指数は、その時点の全世界の株式市場を表しています。
(もちろん別の計算方法も無数にありますが。)
その計算された株式市場の姿を、まさに実体化して販売・運用しているのがインデックスファンドなのです。
ここを疎かにしているインデックスファンドは、そもそも買うべきではないと思っています。
指数との連動を疎かにしているインデックスファンドって?
例えばこんなことを、堂々とファンドの特色欄に書いているファンドのことです。
外国の株式(新興国の株式を含みます。)およびわが国の株式を実質的な主要投資対象とし、MSCI ACWI(配当込み、円換算ベース)の中長期的な動きを概ね捉える投資成果を目指して運用を行ないます。
「中長期的」ってどのくらいの期間を指しているんでしょう?
「概ね捉える」って多少のズレがあっても問題ないって考えてるってことでしょうか?
やっぱり、こんな志の低いファンドを見てしまうと、オルカン(楽天オールカントリーも?)は素晴らしいインデックスファンドなんだと再確認できますね。
最後に
さて、新NISAが始まってからの初めての下落局面を迎えています。
日経平均株価も一応の反転を見せていますが、これから再度の下落があるかもしれません。
米国株も今のところは落ち着いていますが、今後はどうなるかは不明です。
インデックス投資をしていると、市場の変化をモロに受け止めなければならないので、下落局面では資産を大きく減らすこともあります。
しかし、その資産を使うことになる10~数十年後から振り返ってみれば誤差みたいなものですから、淡々と資産の積み上げを継続していきましょう。
下がれば安く仕込めるから嬉しい!って言っている達人がいますが、やっぱり下がったら嫌ですよね。達人になるのはいつのことやらw
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