ごましお(@okowa1215)です。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)をベンチマークとする2つの投資信託。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):通称「オルカン」
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:通称「楽天・オールカントリー」
これら2つの投資信託は、どちらが新NISAで購入するのに相応しいのか?
最新の2024年8月の月報の内容を確認してみました。
騰落率と純資産総額
騰落率と純資産総額の変化を確認します。
騰落率を確認
直近3か月の騰落率がマイナスとなってしまいました。
8月5日のブラックマンデー以来の下げは記憶に新しいですが、日経平均株価だけでなく世界の株価もそれなりに下げていました。
↑ドル建てACWIの日足チャート。8月5日は大きく下から開始。その後上昇しています。
ドル建てでは7月中旬の前回高値を1度超え、再度高値を目指す動きに見えます。
しかし、ドル円チャートを見てみると、8月5日よりも4円程度円高が進行しています。
↑ドル円の日足チャート。円高傾向にありそうです。
オルカンや楽天オールカントリーの日々の価額は「株価×為替」です。
ドル建ての本家ACWIがプラスになったとしても、同時にドル円相場が円高方向に進めば、結果としてオルカンの価額は下がります。
それを如実に表しているのが下の表です。
↓オルカンの月報に記載がありますが、基準価額の変動要因をまとめたものです。
7月と8月の欄を見てみると、見事に為替要因がー1000~-1300ほど影響を与えているのがわかります。
↑オルカンの過去6か月の価額推移。
前回高値を奪還するには為替次第ですが、少し時間がかかりそうですね。
純資産総額の状況
純資産総額は増加になりましたが、全盛期には比べられないくらい減少しましたね。
しかし、1か月単位で見て増加しているのは良い傾向です。
もしかすると8月の大きな下げで、オルカンや楽天オールカントリーを狼狽売りした人って案外少なかったのかも?
投資信託は、日経平均株価や個別銘柄、ETFのようにリアルタイムで株価や価額が上下しません。
価額は一日1回しか決定されませんからね。
ここが、個別株などに比べて長期で保有しやすい利点と思います。
リアルタイムで価格が大きく下がるのを目にしてしまうと、やっぱり恐怖に襲われてしまいます。
そう考えると特に相場の急変に狼狽しがちな人には、投資信託は極めて適した商品になるのではないでしょうか?
中身の確認
それぞれの投資信託の中身を確認してみます。
国別比率の比較
全般的にベンチマークであるACWIとの乖離は小さいですね。
米国株の乖離がちょっと気になるところですが、楽天オールカントリーについてはもともと乖離が大きかったものが、-3.3ポイントまで近づいてきているので問題はありません。
オルカンの過去から現在までの米国株の乖離を確認してみました。
-2ポイントは過去に比較するとちょっと乖離が大きくなっているように見えます。
まあこれもある程度の振れ幅はあるでしょうから、継続的に注視していきます。
しかし、過去1度もベンチマークを上回ったことがないのもちょっと気になりますね。
採用銘柄の比率
採用銘柄の比率を確認してみます。
相変わらず楽天オールカントリーの1位には、新興国株のETFである「IEMG」が居座っています。
しかし前回の比率からは減少しています。
(前回は7.7% → 今回7.3%)
引き続きETFでの運用から現物株への運用に移行するのか、注目していきたいです。
しかし、2位と3位のマイクロソフトとエヌビディアでデットヒートが繰り広げられていますね。
全世界株の最新ニュース
さて、全世界株関連の気になるニュースがありました。
10月1日及び16日に「SBI全世界高配当株式ファンド」が設定されます。
内容の細部は不明ですが、これ一つで全世界の高配当株に分散投資できます。
驚くべきはそのコスト。
オルカンを下回る信託報酬が年率0.055%です。
低コストは正義です。
信託報酬というのは、事前に決められていて年間でこの数値を必ず経費として差し引きます、というもの。
それが0.055%というのは、現在ある投資信託の中で最安値です(2024年9月現在)。
われらがオルカンの0.05775%よりも安いです。
もちろん実際の運用においては、この信託報酬以外のコスト(隠れコストといいます)が必ず必要になりますので、総コストで考えると最安になるかは不明です。
しかし、事前にこれしかコストがかかりません!というのは、やっぱり絶対の正義です。
運用の結果、より良い成績を残すファンドが他にもあるかもしれませんが、事前にそれを知ることは不可能です。
事前に唯一判明しているのがこの「信託報酬」ですから、安いことが重要なのです。
高配当株投資家はこれ1本でよいのでは?
高配当株投資は最近とっても人気のある投資方法です。
高配当な個別株に投資したり、アメリカや日本の高配当ETFに投資している人が多いと思います。
今回設定されたSBI全世界高配当株式ファンドは、アメリカや日本だけでなく欧州と新興国の高配当株にも投資できます。
ですから、これから高配当株投資を始めたいと考えている人は、これ1本だけ購入するので良いのではないでしょうか?
成長をとるか?分配をとるか?
同じ内容のファンドですが決算の頻度で2種類に分けられています。
株式は配当金を出すと、その分株価が低下します。
投資信託も分配金を出すと、その分基準価額が低下します。
分配金を年4回出すと、年1回の場合と比較して株価の成長にはマイナスの影響があります。
基準価額の成長も考えるなら年1回決算の成長型がおすすめ。
逆に定期的に決まった収入が欲しい人は、分配重視型を選ぶことになります。
しかし、長期的にみると成長型は分配重視型と比較して基準価額は高くなります。
ということは、長期で見てみると分配金の額にも影響が出そうな気がするのですが、どうなんでしょう?
詳細が判明してからでも遅くない
現在は設定前ですから、外側の情報の一部しか判明していません。
基本的に私は「新規設定の投資信託の購入は避けるべき」だと考えています。
それを考えるためにこの「オルカンと楽天オールカントリーの徹底比較」シリーズを続けているのです。
設定後に半年とか1年経過してみて、運用内容の詳細が判明してから購入し始めても遅くはないと思います。
また、かなり人気が高そうなファンドですので、対抗ファンドが設定される可能性もあります。
もしかすると楽天あたりが、もっと信託報酬の安い全世界高配当株ファンドを設定したりしてw
いずれにしても、現在の投資信託中最安値のコストで、かつ全世界の高配当株に投資できるファンドを設定してくれたSBIさんはグッジョブ!
最後に
さて、この徹底比較シリーズも今回が9回目となりました。
楽天オールカントリーの設定は2023年10月ですので、来月で1年経過することになります。
今のところの私の見方としては「オルカンも楽天オールカントリーもともに素晴らしいファンドだが、わざわざ楽天オールカントリーを選ぶ必要はない!」というものです。
これは、このシリーズ開始からずっと主張していることです。
オルカンと楽天オールカントリーの純資産総額には10倍以上の差があります。
それを埋めることは容易ではありません。
ただし、楽天オールカントリーの猛追によって、オルカン独り勝ち状態が弱くなっているのは確かです。
「人気ファンドが独り勝ちにあぐらをかいて運用でミスをする」
「無分配方針といいながら(政府からのプレッシャーで)分配金を出す」
こんな過去事例があったと言います。
オルカンに限ってそんなことにはならないとは思いますが、ライバルファンドがあることで防げるミスもたくさんあります。
互いに切磋琢磨してよりよいファンドになってくれることが、私たちユーザーの利益につながります。
今後も引き続き徹底比較していきます!
オルカンの価額低下とともに私の資産額も足踏み状態。これから年末にかけて爆上げするのか?それとも??
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