年金「繰り下げ受給=お得」説への強烈な違和感。年金の「繰り下げ受給」を絶対に選ばない4つの理由

資産運用の考え方
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ごましおです(@gomashio_Rich)。

マネー雑誌やファイナンシャルプランナーのコラムを読むと、最近は「年金は繰り下げ受給が絶対お得!」という主張にあふれています。

65歳からの年金を70歳に遅らせれば42%増、75歳まで遅らせればなんと84%増になる。

だから、働けるうちは働いて年金は限界まで繰り下げるべきだ、と。

しかし、私としては、この主張には強烈な違和感を覚えずにはいられません。

今回は、インデックス投資家の視点から「なぜ年金の繰り下げがお得とは言えないのか」、そして「なぜ速やかに受給を開始するのが合理的だと考えるのか」について、私の考えをまとめました。

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1. そもそも期待値は同じ。「損益分岐点」というまやかし

繰り下げを推奨する人たちは、よく「○歳まで生きれば元が取れる(損益分岐点)」という言葉を使います。

しかし、年金の受給額というものは、厚生労働省の専門家たちが「その年齢の平均余命」から逆算して、いつ受け取り始めても総額の期待値が概ね同じになるように、極めて精緻に設計しています。

つまり、確率論・数学的な観点から見れば、どのタイミングで受け取っても本質的な損得はゼロなのです。

年金受け取り額が総体として同じなら、早く始めれば毎月の受け取り額は少なくなります。

当然、最大75歳まで遅く始めれば、毎月の受け取り額が増えるのは当たり前です。

ここで忘れてはいけないのが、「税金」と「社会保険料」です。

繰り下げによって額面が42%、84%と増えたとしても、年金収入が増えればそれに伴って所得税、住民税、そして国民健康保険料や介護保険料が跳ね上がります。

つまり、額面が増えても手取りは同じ割合では増えません。

ということは、受け取り額の総額が同じであるなら、社会保険料等の分だけ遅くもらうことは損になってしまいます。

これを考慮すると、本当の意味での損益分岐点は、世間で言われているよりもずっと先(80代後半〜90代)に延びてしまいますよね。

2. お金の「現在価値」と「複利の力」を舐めてはいけない

私たちインデックス投資家が最も重視するもの。それは「お金の現在価値(Time Value of Money)」です。経済学の基本ですが、将来もらえる100万円よりも、今すぐもらえる100万円の方が圧倒的に価値があります。

なぜなら、今手元にあるお金は自由に使うことができるからです。

もし65歳(あるいはもっと早い段階)で年金を受け取り始め、それが当面の生活費として不要な余剰資金だったとしましょう。

インデックス投資家ならどうするか?
当然、そのままNISA口座などでオルカンやS&P500といったインデックスファンドに突っ込みます。

早く受け取った年金を年利数%で複利運用し続ければ、将来的に繰り下げで得られるはずだった「増額分」など、あっという間に自力で凌駕してしまう可能性が十分にあります。

しかも、年金の増額率は国にロックされていますが、自分で運用しているインデックスファンドなら、いざという時にいつでも引き出せる「流動性」という最強のメリットがあるのです。

3. 限界効用の低下:85歳で大金をもらっても使い道がない

投資の数学的な話だけでなく、人生の実態として考えてみましょう。

「高齢になってから高額の年金をもらっても使いどころがない」

これは残酷ですが、真理ではないでしょうか。

60代や70代前半の、まだ身体が動き、好奇心も旺盛な時期に使う「10万円」と、足腰が弱り、活動範囲が病院と近所のスーパーだけになった90代の「10万円」では、そのお金がもたらす幸福度(限界効用)が全く異なります。

海外&国内旅行に行く、趣味の道具を買う、孫と思い切り遊ぶ。

これらにはすべて「健康と体力」というリソースが必要です。

将来の支給額を増やすために、最もお金を有効活用できる「今」を犠牲にするのは、人生の豊かさを最大化するという目的において、非常に非合理な選択に思えます。

4. 結論:年金は「投資」ではなく「保険」である

結局のところ、年金を「どうすれば一番儲かるか」という投資対象として捉えるからおかしなことになります。年金の本質は投資ではなく、「自分が想定以上に長生きしてしまった時のための長生き保険」です。

長生きによる資産枯渇リスクへの備えは、私たちには「インデックスファンドの取り崩し」という強力な武器があります。

自分の資産は自分でコントロールする。

そして、お金の価値が最も高い「今」の人生を楽しむ。

そのために、私は国の甘い「増額」の謳い文句には乗らず、速やかに年金を受給し、自分のポートフォリオと人生に組み込んでいくのが正解だと考えています。

皆さんは、ご自身の年金受給戦略についてどうお考えでしょうか?

制度の表面的な数字に惑わされず、現在価値と人生の効用を考えた合理的な選択をしていきたいものです。

ごましお
ごましお

少子高齢化で年金財政がひっ迫する中、国としてはみんなが年金を繰り下げしてくれれば万々歳でしょうね。

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