18年前の若い時に契約した個人年金保険。
個人年金保険の控除が満額使えるように年間10万円を目途に積み立てていたものです。
今回は、約18年前に職場で加入したその個人年金保険を解約したお話です。
個人年金保険になぜ加入?
18年も前のことですから正確には覚えていませんが、職場に保険に関するパンフレットがありました。
そのパンフレットを見てみると、
- 個人年金保険というものがある。
- 毎月決まった金額を振り込んで、60歳とかから確定年金として受け取れる。
- 退職時に一括で受け取ることも可能
- 保険会社が安全に運用してくれるので、払い込んだ額よりも多い金額がもらえる。
- 年末調整で個人年金保険控除が受けられる。
といった内容だったと思います。
特に最後の部分に気が付きました。控除が受けられる。
同じように生命保険に加入すると、生命保険控除として控除が受けられます。
でも私が契約している生命保険は掛け捨てタイプなので、お金を払ったら返ってきません。
でも個人年金保険なら、貯金みたいに貯められて、なんなら運用してくれて額も増えて、なおかつ控除まで受けられる。
夢のようなシステムだと思ったものです。
まだ資産運用なんて初めていなかった私ですが、保険屋さんに営業されたわけでもなく、自ら契約しに保険屋さんに向かいました。
「いや~お得な契約できてよかったわw」と思って、そのまま忘れていたんです。
…つい最近まで。
なぜ解約したの?
では、そんな個人年金保険を、なぜ解約したんでしょう?
それは――
この動画を見てしまったからです👇
まさに18年前の私を論破する内容でした。
「控除込みで考えれば、とってもお得な保険=個人年金保険」
――そんな思い込みを、一刀両断してもらいました。
まだまだ未熟ですね。
リベ大は本当に勉強になります。
リベラルアーツ大学の動画は以前からよく見ていました。
でも、この動画は4年ほど前のもので、最近まで見ていなかったんですね。
2024年からの新NISAに備えて、資産配分をあれこれ考えていた時に、
「そういえば、18年前から契約していた個人年金保険があった!」と気づきました。
毎月の払い込み額を変更するか、
もしくは解約して新NISAの資金にできるかも?
そんな「どっちがお得かな~」といった軽い気持ちでリベ大を検索してみたところ、
この動画に出会ったんです。
やっぱりリベ大さんは、勉強になります。
動画のポイントは?
25分程度の動画ですので、興味のある方はぜひ見てみてください。
私なりにポイントをまとめると、こんな感じです。
- 個人年金保険はいらない
- 「個人年金保険控除」でお得になるというのは間違い
- ちゃんと計算すれば、お得でもなんでもない
- その際に使うのが、Excelの IRR関数(内部収益率)だけ!
気になって、さっそく保険関連の書類を探して、自分でも計算してみました。
個人年金保険の利回りは?
まずは個人年金保険料控除についてみてみます。
控除額と払い込み額
| 年間払込保険料 | 所得税控除額(新) | 住民税控除額(新) |
|---|---|---|
| 56,000円超 | 一律28,000円 | |
| 80,000円超 | 一律40,000円 |
| 年間払込保険料 | 所得税控除額(旧) | 住民税控除額(旧) |
|---|---|---|
| 70,000円超 | 一律35,000円 | |
| 100,000円超 | 一律50,000円 |
個人年金保険料控除額の上限は、2012年1月の税制改正によって新制度に変更されています。
私は2006年に契約しているので、旧制度の控除額(下の表)が適用されます。
年間で10万円以上の保険料を支払えば、所得税と住民税あわせて最大85,000円の控除が受けられます。
なお、2012年以降に契約した保険については新制度(上の表)が適用されますので、ご注意ください。
私が実際に支払っていた保険料は、
- 毎月6,000円
- ボーナス時に20,000円
この合計で年間112,000円となり、
しっかりと年間支払保険料10万円超えをクリアしています。
IRRを計算
18年間の個人年金保険の支払いと解約金を合計したIRRは、次のとおりです。

控除額については、
9年目までは所得税10%で計算しました。
正確には覚えていませんが、おそらく途中から20%に変わっていたと思うので、
10年目以降は20%として計算しています。
その結果、IRRは2.17%となりました。
ちなみに、下の「年率」とは、
利益を支払額で割って、さらに18年で割った単利計算のことです。
この計算だと、年平均で1.19%の上昇ということになります。
あれ?
でも、複利で2.17%って、そんなに悪い数字でしょうか?
IRR(内部収益率)とは
IRR(内部収益率)とは、投資案件を評価する指標のひとつ。投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値と、投資額の現在価値が等しくなる割引率のこと。
(野村證券:証券用語解説集)
私は正直、
「IRRは単純に複利計算をしてくれるもの」だと思っていたのですが、どうも違うようです。
用語の説明だけだと少し難しいですが、
要は1つの投資先を判断するだけでなく、複数の投資先を比べるときに使う指標だそうです。
主に企業の設備投資や、不動産投資の判断材料として使われているんだとか。
比較対象のインデックス・ファンドは?
では、この個人年金保険の計算結果と比較する対象として、何が良いでしょうか?
インデックス投資家である私は、同じ条件でインデックス・ファンドに投資した場合のパフォーマンスを比較してみました。
条件は、
- 投資金額と投資時期は個人年金保険と同一
- 当時からあり、現在も実際に存在している投資信託
- 好きなオルカン(全世界株インデックス・ファンド)に近いものがあれば理想的
といった感じで探してみたのですが、
実際、20年近く存続しているインデックス・ファンドはあまり多くありません。
当然、オルカンもスリムS&P500もありませんでした。
そこで、楽天証券の「投信スーパーサーチ」で、
「インデックス」「株式」「運用期間20年以上」という条件で検索してみました。

↑7件ヒットしました。
今回は、この中で管理費用(信託報酬)が最安値の「インベスコ MSCIコクサイ・インデックス・ファンド」を比較対象にしてみました。
比較した結果は?
「インベスコ MSCIコクサイ・インデックス・ファンド」は、日本を除く先進国22か国に投資する投資信託です。
信託報酬0.77%は、現在の状況からするとやや高く感じますが、18年前に1%を切っていたのは評価に値します。
純資産総額も約170億円と、ベテランと呼ぶにふさわしいインデックス・ファンドと言えるでしょう。
ちなみに、「MSCIコクサイ・インデックス」に連動するファンドは先進国株式インデックスのことであり、私も資産運用を開始した当初はメインの投資先でした。
このインデックス・ファンドに毎年末に112,000円ずつ投資し、2023年10月末に解約したものとして計算してみました。

IRRは10.45%。
年間利回りも10.7%。
利益は380万円超えの結果となりました。
圧倒的な成果でしたね。(そりゃそうかw)
最後に
| IRR | 年率 | |
|---|---|---|
| 個人年金保険 | 2.17% | 1.19% |
| インデックス・ファンド | 10.45% | 10.7% |
比較した結果、保険契約をするならばインデックス・ファンドを購入しろ!という結論になりました。
簡単にまとめると、過去18年間、毎月1万円を先進国株式に連動するインデックス・ファンドに投資すると、約600万円まで成長したということです。
この成長は、過去18年間の1回限りのものなのでしょうか?
今後はどうでしょうか?やっぱり保険の方が安全だと思いますか?
皆さんどう考えますか?
私は今後も、過去18年間以上に全世界の株式は成長していくと信じているので、変わらずインデックス投資を継続していきます。
ちなみに、今回解約した200万円は、2024年から始まる新NISAに充当する予定ですが、すでにオルカンを購入しました。(もちろん課税口座で)

インフレの世の中では保険だって安全ではありません。なら他人に任せるのではなく、自分で責任をもって運用してみては?




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