MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)をベンチマークとする2つの投資信託。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):通称「オルカン」
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:通称「楽天・オールカントリー」
これら2つの投資信託は、どちらが新NISAで購入するのに相応しいのか?
2024年2月の月報の内容を確認してみました。
騰落率と純資産総額
騰落率と純資産総額の変化を確認します。
直近1カ月で、どちらも約5%の上昇と絶好調です。
ベンチマークとの乖離も少なく、大きな問題はありません。
オルカンの乖離(ベンチマークとの差異)の低さには驚かされます。
インデックスファンドはベンチマークと連動して動くのが理想です。
その意味ではオルカンの運用がとても素晴らしいことがわかります。
対して楽天オールカントリーも素晴らしいですが、オルカンと比較すると徐々に乖離が大きくなってきている可能性があります。
引き続き注目していきます。
純資産総額の増加(売れているか?)はオルカンが圧倒的です。
オルカンは楽天の10倍も売れています。
しかし楽天オールカントリーは設定から3カ月で700億円を突破しています。
オルカンは資産総額700億円を突破したのが設定から2年以上かかっていますので、楽天オールカントリーの売れ行きが驚異的なのは間違いありません。
「後進おそるべし!」って感じですね。
中身の確認
それぞれの投資信託の中身を確認してみます。
まずは国別比率の比較です。
楽天オールカントリーは前回の比率も載せています。
オルカンは相変わらずベンチマークであるACWIとの乖離は小さいです。
ほぼ誤差の範囲と言っても良いのではないでしょうか。
ベンチマークとの乖離が小さいのは良い投資信託の証です。
楽天オールカントリーも2位以下の国の比率は、ほぼ誤差と言えそうです。
しかし、米国の比率がまだまだ足りません。
しかも先月よりも乖離が大きくなっています。
最近の米国株の上昇に追いつけていないのでしょうか?
採用銘柄の比率も確認します。
こちらはビックリの変化です。
楽天オールカントリーの1位であるIEMG(新興国ETF)の比率が前回よりも拡大しています。
これはどうゆうことでしょう?
投資信託の設定直後では新興国の個別株の購入が追いつかないことから、ETFで代用しているのも理解はできます。
しかしETFの手数料分、投資信託全体の手数料が高くなってしまいますので、徐々にETFの比率は低下していくのが理想的なのです。
前回は7.8%→6.8%と1ポイントの低下だったので良い傾向と判断しましたが、今回は1.3ポイントの増加ですから悪い傾向です。
米国株がベンチマークに追いつけない原因は、この新興国株の迷走にありそうな気がします。
2つのファンドの評価は?
2024年2月の月報の内容から2つの投資信託(ファンド)を比較してみました。
オルカンはベンチマークとの乖離も少なく、騰落率もベンチマークにピッタリと連動しています。
インデックスファンドの理想的な運用を継続していることがうかがえます。
対して楽天オールカントリーの運用は、まだまだ発展途中と言った感じ。
インデックスファンドの理想形は、ベンチマークとまったく同じ動きをすることです。
ベンチマークと同じ中身であれば、同じ動きをしますのでロスが少なく、手間がかからず手数料が安くなります。
反対にベンチマークと中身が大きく違うと、違う動きをしがちですので、ロスが多く、手間暇がかかる分手数料が高くなります。
このことから、やはり楽天オールカントリーの手数料は高くなる傾向にあるようです。
手数料の差は騰落率の差になって、私たちの得られる利益の差になります。
細かい点ですが、インデックス投資家である以上コストには敏感になる必要があります。
ということで、今回も「オルカンの圧勝」と評価します。
最後に
まったく同じベンチマークへの連動を目指している2つの投資信託を比較することで、それぞれの特徴や優劣が良く理解できます。
楽天オールカントリーが悪い投資信託であると言いたいわけではありません。
しかし、最低1年間は運用して、その結果を見てみないと購入してよいのかどうか判断は難しいと思います。
インデックスファンドは購入した後、数十年という長期間保有することになります。
小さな差でも数十年経つと、かなり大きな差となります。
消費者でもある私たちが、「より良い運用になるように」しっかりと目を光らせておきましょう。
楽天さんは設定直後に多額の資金流入があって、若干迷走気味なんですかね?!今後に期待です。
コメント