MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)をベンチマークとする2つの投資信託。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):通称「オルカン」
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド:通称「楽天・オールカントリー」
これら2つの投資信託は、どちらが新NISAで購入するのに相応しいのか?
最新の2024年3月の月報の内容を確認してみました。
騰落率と純資産総額
騰落率と純資産総額の変化を確認します。
直近1カ月で、どちらも約4%の上昇と絶好調です。
ベンチマークとの乖離(ベンチマークとの差異)も少なく、大きな問題はありません。
インデックスファンドはベンチマークと連動して動くのが理想です。
その意味ではどちらのインデックスファンドも、運用がとても素晴らしいことがわかります。
しかし、過去1年間の騰落率には驚かされます。
オルカンを買って保有しているだけで40%以上の利益が出ています。
過去30年間のACWIの年間平均リターンはドル建てで約8%、円建てで約10%です。
それに比べれば1年間で40%の利益が、いかに異常なことか理解できると思います。
株価の調整がいつ来てもおかしくないと、再度気を引き締めたいですね。
純資産総額の状況です。
純資産総額の増加(売れているか?)はオルカンが圧倒的です。
オルカンは楽天の10倍以上も売れています。
しかもオルカンは4月9日についに純資産総額3兆円を突破しています!素晴らしい!!
しかし楽天オールカントリーは設定から4カ月で900億円を突破しています。
これはほんとにすごいこと!
どちらもすごい伸び率ですが、2月の増加額に比較すると若干落ち着いた感があります。
こちらの記事によると、1、2月の資金流入に比べて、3月は息切れ感が出てきているとのこと。
それでも日本の投資信託全体に、1か月で1兆3200億円もの資金が流入している訳です。
最近の150円を超えるような円安と相まって、騰落率を押し上げている原因ですね。
中身の確認
それぞれの投資信託の中身を確認してみます。
まずは国別比率の比較です。
楽天オールカントリーは前回の比率も載せています。
オルカンは相変わらずベンチマークであるACWIとの乖離は小さいです。
楽天オールカントリーも2位以下の国の比率は、ほぼ誤差と言えそうです。
米国株の比率も60%を超えてきました。
順調に買い進めているようです。
このまま継続して欲しいところです。
それぞれの採用銘柄の比率も確認します。
相変わらず楽天オールカントリーの1位には、新興国株のETFである「IEMG」が居座っています。
しかも悪いことに前回よりもその比率が高くなっています。
う~ん、なかなか新興国の個別銘柄を買い進めることが出来ないのでしょうか?
その辺の理由は不明ですが、全体の10%しかない新興国株は一旦放っておいて、その他の重要な株から購入していいるのかもしれませんね。
2位以下の銘柄の比率を確認すると、(オルカンに比べると大きいですが)乖離は小さくなっていますので、その傾向のようです。
いずれにしても投資信託の中にETFがあると、そのETF分の信託報酬も必要になるので、一般的に全体のコストは高くなりがちです。
今後、個別株を購入しながら徐々にETFの比率が減ってくることを期待しています。
2つのファンドの評価は?
2024年3月の月報の内容から2つの投資信託(ファンド)を比較してみました。
オルカンはベンチマークとの乖離も少なく、騰落率もベンチマークにピッタリと連動しています。
インデックスファンドの理想的な運用を継続していることがうかがえます。
楽天オールカントリーも驚異的な純資産額の増加に伴って、理想とする運用に近づけるべく進んでいる姿が見えます。
これは良い傾向なので、素直に評価したいところ。
(新興国ETFの比率増加は疑問符が付きますが、、)
インデックスファンドの理想形は、ベンチマークとまったく同じ動きをすることです。
ベンチマークと同じ中身であれば、同じ動きをしますのでロスが少なく、手間がかからず手数料が安くなります。
反対にベンチマークと中身が大きく違うと、違う動きをしがちですので、ロスが多く、手間暇がかかる分手数料が高くなります。
手数料の差は騰落率の差になって、私たちの得られる利益の差になります。
細かい点ですが、インデックス投資家である以上コストには敏感になる必要があります。
ということで、今回も「オルカンの勝利」と評価します。
最後に
まったく同じベンチマークへの連動を目指している2つの投資信託を比較することで、それぞれの特徴や優劣が良く理解できます。
楽天オールカントリーは悪い投資信託なので買うべきではない、と言いたいのではありません。
しかし、最低1年間は運用して、その結果を見てみないと(特にコスト面)判断は難しいと思います。
インデックスファンドは購入した後、数十年という長期間保有することになります。
小さな差でも数十年経つと、かなり大きな差となります。
消費者でもある私たちが、「より良い運用になるように」しっかりと目を光らせておきましょう。
1年で40%も値上がりしちゃうと細かい差異なんて関係ない!って思ってしまうかもしれませんね。でも私はそんな細部こそ重要だと思うタイプなんですw
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