2024年1月1日、経済評論家の山崎元さんが亡くなりました。
私がインデックス投資に目覚めたのは、山崎さんの著作を読んだからです。
資産運用だけでなく、人生の先生でもあった山崎元さんのご冥福をお祈りいたします。
今回は、そんな資産運用の賢人、山崎元さんの考える「新NISA正しい使い方」を確認して故人を偲びたいと思います。
新NISAの四つの原則
山崎さんが考える新NISAの原則とは、
- 大きく使う
- 早く使う
- シンプルに使う
- 長く使う
の四つです。
山崎さんらしく、端的でとってもわかり易いまとめ方です。
この四つの原則を無理やり一言にすると、「新NISAでオルカンを年初一括で買って長期間ほったらかしにする。」となります。
異論反論!?
「大きく使う」部分は異論は少ないと思います。
新NISA口座は、課税口座(特定口座)と比較して税金面で明らかに有利ですので、資金を新NISA口座に集中させるのが効率的です。
異論が多いのが「早く使う」部分でしょうか?
積立投資について
山崎元さんと言えば積立投資反対論?で有名です。
特に「ドルコスト平均法」についての鋭い批判は、私も参考にしています。
今回の四原則でも「合理的な最善」は年初一括投資であり、最善ではないが気休め効果を狙って積立投資を行ってもよい、と述べられています。
一括投資について
「早く使う」べきとの立場から、成長投資枠での240万円年初一括投資を「最善」としています。
(細かい手を使えばつみたて投資枠での120万円年初一括も可能です。)
この部分について、一部誤解をしている人がいるように感じます。
山崎さんは「一括投資できるお金があるならば、積立投資をせずに年初に一括投資をするのが合理的だ」と主張されているのです。
若い人などが、少ない給料などから毎月コツコツと投資にお金を回すことを否定しているわけではありません。
また、2024年1月が株式を購入するのに適した時期だから、そこで一括投資することをすすめているわけでもありません。
そもそもインデックス投資とは、今現在の株価が高いのか低いのかは誰にもわからないという前提に立って行います。
株価の高低が判断できる人なら、インデックス投資などという非効率なことはせずに、ここぞの場面で短期集中投資をしていることでしょう。
しかし山崎さんは、株価の高低が分かるという人を舌鋒鋭く批判されています。
「今みたいな株価が高い時期に一括購入すべきではない」と言う人がいますが、山崎さんはそんな人の言うことは聞くべきではないと考えていることでしょう。
初心者と経験者の差
この一括投資については、新NISAで投資デビューをする人(初心者)と、もともと投資をしていた人(経験者)では考え方に差があると思います。
投資初心者にとっては新規購入
これから投資を始める若い人は、まとまった資金もないことが多いでしょうから、毎月の給料からコツコツ一定額を投資することになると思います。
そんな人でもボーナスや一時的な収入が発生したら、速やかに投資に回すことが「早く使う」原則に沿った方法と言えます。
一定の貯蓄がある人は、原則に沿うならば(自分のリスク許容度を見極めて)一括投資するのが最善です。
気休めを狙うのであれば一括投資ではなく、毎月30万円づつ投資してもよいというのが山崎さんの考えです。
あくまで気休めですが。
投資経験者にとっては資産の移動
私もそうですが、もともと資産運用をしていた人は特定口座で投資信託等を保有中です。
つみたてNISAや一般NISAにも収まらなかった資産は、その多くが課税される特定口座にあるわけです。
ですので、非課税口座である新NISA口座に資産を移すことになります。
特定口座で保有している投資信託等を一度売却して、新NISA口座で買い直すだけですので「年初一括投資」になる人が多いと思います。
(別に年初にやる必要はないですが、「早く使う」のが原則の1つです。)
もしかしたら、タイミングが分かる(株価の高低が見抜ける)ので、売却した資金をすぐには移動させずに取っておくから年初一括にはならない人がいるかもしれませんが、山崎さんはきっとそんな方法は批判されるでしょう。
購入する商品はオルカンのみ!
「シンプルに使う」部分はもっとも明確です。
購入する商品は、つみたて投資枠も成長投資枠も「オルカン」のみ!
オルカンを選択する理由として、「全世界に平均的に分散されていること」そして「手数料の安さ」を挙げています。
つみたて投資枠と成長投資枠で異なった商品を選らぶ人がいます。
長い投資経験があってやっているのであれば問題ありませんが、特にこれから投資を始める初心者の人は商品をあれこれ選ぶよりも、買うのは「オルカン」のみ!と決めてしまった方が楽でよいと思います。
もちろん世の中には数多くの投資商品がありますし、あれこれ選びたくなる気持ちはとっても良くわかります。
でも山崎さんは「世の中に出回っている投資信託の99%はゴミ!」と言っていますので、変なゴミを掴んでしまって後で後悔するよりも「オルカン」だけを購入しましょう。
もちろん私も新NISAは「オルカン」一本です。
暴落が来てもじっとしていよう!
「長く使う」部分については、山崎さんは「どうしてもお金が必要になる時までじっと持つ」と言っています。
その「じっとしている」時間には、株価の上昇もあれば暴落もあります。
特に暴落が来ると、多くの人は株を売りたくなってしまいます。
そんな時になると、当初「長期投資をする!」と言って始めた資産運用も「やっぱり下落する前に売って、安くなった底で買い直そう!」などと急に「短期投資」を始めてしまったりします。
そんな時こそ「じっとして」いなければなりません。
私は、残念ながら新NISAで投資を始めた初心者の人の半分以上は、次の暴落時に株を売って撤退してしまうだろうなと思っています。
今までリーマンショックやコロナショックを経験した身としては、かなりの信念がないと暴落時に株を持ち続けることは困難だからです。
しかし、株式投資の利益の大半は、そんな暴落を乗り越えた先に待っているのです。
今から暴落に備えることはできませんが、撤退しなくてもいいようにリスク管理は徹底したいです。
新NISAの正解
山崎元さんの主張する新NISAの正解は「オルカンの長期ほったらかし投資」です。
私の新NISAの投資方針もまったく同じです。
単純で面白味に欠けると思う人がいるかもしれませんが、あの山崎元さんの出した正解ですので自信を持って継続していきたいと思います。
最後に
まだまだ山崎元さんのお話を伺いたいと思っていたのに、急な訃報はとても残念です。
もうあの舌鋒鋭い批判を聞けないなんて。
きっと今後資産運用に迷うことがあったら、山元さんならこう言うかな?と思い出しながら乗り越えていくんだと思います。
最後になりますが、山崎元さんのご冥福をお祈り申し上げます。
コメント