私も最近まで知らなかった健康保険の「付加給付制度」
なんとなく聞いたことはあったのですが、しっかりとその内容を確認していませんでした。
多くの企業でこの制度を整備しており、みなさんの職場でも利用可能かもしれません。
今回は、社会人全員が確認した方が良い「付加給付制度」について調べてみました。
付加給付制度って何?
この「付加給付制度」とは、病気やケガによって多額の医療費が発生した場合に、一定の上限を超えた部分を補填してくれる制度のことです。
あ~「高額療養費」のことね?それなら言われなくても知ってますよ!!
って思ったあなた!
私も医療費の自己負担が軽くなる「高額療養費」については知っていたんです。
でもその「さらに次」があるんです。
公的医療保険と自己負担割合
国民皆保険制度が整った日本においては、全ての国民は何らかの公的医療保険に加入しています。
公的医療保険は、年齢や職業、就労状況等によって次のいずれかに分類されます。
- 被用者保険
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療制度
被用者保険
被用者保険とは、会社員や公務員などとして雇用されている人(被用者)を対象にした保険のこと。
- 大企業に勤めている人なら、「〇〇健康保険組合」
- 中小企業なら「協会けんぽ」
- 公務員なら「共済組合」
- 船員なら「船員保険」
このように大きく4つに分類されるとのこと。
多くの社会人は、これらのどれかの保険に加入して、毎月の給料から保険料が引かれているはずです。
国民健康保険
市区町村が運営する保険であり、自営業や農業、無職の人など企業勤めをしていない人を対象にした保険のこと。
会社員や公務員が加入する被用者保険に比べて、保障が手薄な場合があるみたいです。
後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度とは、75歳以上(もしくは65歳以上で障害あり)高齢者が加入する保険のこと。
自己負担(窓口負担)割合
病院の窓口で払う自己負担の割合は、厚生労働省の資料によると次のとおりです。
70歳以上の人や、75歳以上の後期高齢者は収入によって1~3割負担。
69歳以下6歳以上は3割負担。
5歳以下の未就学児は2割負担となっています。
一番負担の多い世代でも、掛かった医療費の3割までしか負担しなくても良くなっており、公的健康保険がいかに大切なものなのかわかります。
高額療養費制度
最大3割負担と言っても、掛かった医療費が高額になると自己負担も大きくなります。
例えば、医療費が全体で100万円掛かったとすると、3割負担で30万円を病院の窓口で支払わなければなりません。
しかし何れかの公的医療保険に加入している人は、1ヶ月の医療費が高額になった時には、決められた上限額を超えた分が支給される制度を使うことができます。
これを「高額療養費制度」と言います。
⇧厚生労働省の資料抜粋
高額療養費の上限額
高額療養費の上限額は、年齢や所得によって異なります。
ここでは69歳以下の人を例にとって確認してみます。
⇧厚生労働省の説明資料です。
69歳以下の人の場合は、純粋に年収によって区分されます。
自己負担額の計算結果
それぞれ100万円と1000万円の医療費が発生した場合の自己負担額を計算してみます。
年収 | 負担額(100万円) | 負担額(1000万円) |
---|---|---|
約1160万円~ | 254,180円 | 344,180円 |
770~1160万円 | 171,820円 | 261,820円 |
370~770万円 | 87,430円 | 177,430円 |
~370万円 | 57,600円 | 57,600円 |
住民税非課税者 | 35,400円 | 35,400円 |
例え1000万円の医療費が発生しても、最大でも35万円程度しか負担が発生しません。
とっても良い制度ですね。
思い病気に掛かっても、少なくともお金の心配はなさそうだね。
ただし、高額療養費として支給されるのは、あくまでも医療に掛かったお金だけです。
入院時の食事代や、個室に入った場合の差額ベッド代等は含まれませんのでご注意ください。
その「さらに次」の付加給付
さて、こんなに手厚い保障が受けられる公的医療保険ですが、その「さらに次」があるかもしれません。
やっと本題の「付加給付制度」についてですが、ここからは全ての人が使える制度ではありません。
果たして自分には使える制度なのか1度確認する必要があります。
付加給付って?
「高額療養費制度」によって、1000万円の医療費が掛かっても35万円程度しか自己負担は発生しませんでした。
でも1か月で35万円の医療費ってのも結構高いですよね。
そんな時、あなたが所属している会社などの健康保険に「付加給付制度」があると、最大20000円程度まで医療費の自己負担を減らせるのです。
3段階の保障
⇧楽天健康保険組合の資料の抜粋です。
我らが「楽天証券」の社員さん達が加入しているであろう「楽天健康保険組合」の資料を見ると、
高額療養費で減った自己負担額が、さらに「付加給付」によって減っています。
楽天健康保険組合のHPを確認すると、
当組合の場合、合算高額療養費が支給される場合に、対象となった自己負担の合計額(ただし高額療養費を除く額)から20,000円を差し引いた額を、後日、当組合から支給いたします。これを「合算高額療養費付加金」といいます。
楽天健康保険組合「医療費が高額になったとき」
とあり、自己負担額は2万円しか必要ないことが記載されています。
(実際には後日の支払いなので、一旦自己負担額の全額を支払う必要はありますが。)
全ての保険にあるわけではない
楽天健康保険組合のHPに「当組合の場合」との記載があるとおり、この「付加給付制度」は全ての保険に備わっている訳ではありません。
自営業や農業、無職の人などが加入する国民健康保険には、そもそも「付加給付制度」はありません。
被用者保険でも、中小企業の人が加入する「協会けんぽ」でも「付加給付制度」はありません。
付加給付制度は、大企業の健康保険組合が独自の保障を上乗せする任意の給付であって、大企業の全てに備わっている訳でもないようです。
さっそく明日確認しましょう!
このように手厚い上にも手厚い保障を受けられる「付加給付制度」ですが、自分が勤める職場にあるのかどうか、一度確認することをおすすめします。
幸いなことに、私も私の妻の職場にも制度が備わっていました。
私の職場では25000円の自己負担。
妻は20000円の自己負担となっていました。
これで、どんなに大病を患っても、少なくともお金の面では心配する必要がなくなったと思います。
私は契約していませんが、民間の医療保険なんてこの「付加給付制度」があれば、まったくの無用の長物です。
今すぐ解約して、好きなこと(新NISAでオルカンを買うとかw)に使った方が良いです。
最後に
今回は公的医療保険の「付加給付制度」について調べてみました。
このような制度は、知っているか、知らないのかの差が大きいものです。
ちゃんと自分が使える制度を調査して確認しておけば、無駄な不安に駆られて不要な民間保険に加入することもありません。
無駄な保険に入らないで、浮いたお金でオルカンを購入しましょう!
いざという時の備えが万全であれば、自信をもって資産運用にまい進することができるはずです。
付加給付制度がなくても、高額療養費はみんなが使えるんで心配ないですよ!
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