公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2月2日に2023年3四半期の運用状況を発表しました。
それによると2023年10~12月で5兆7287億円の収益を叩き出しています。
実はGPIFはインデックス投資家にとってお手本となる存在です。
GPIFの運用方法を一緒に学んでみましょう!
GPIFとは?
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、私たちが毎月収めている年金(国民年金と厚生年金)の積立金を管理・運用している独立行政法人です。
平成18年(2006年)に設立されました。
運用資産額224兆7000億円(2023年度第3四半期末現在)で、世界トップクラスの公的年金運用資産額を誇ります。
その資産額の大きさから「世界最大の機関投資家」なんて呼ばれたりします。
運用実績がすごい!
過去22年間で年率+3.99%、累積の収益額は132兆円以上!!
当初90兆円程度から運用を開始したとすれば、22年間で2倍以上の運用益を叩き出しています。
運用目標は控え目
GPIFが運用している資金の運用目標は、厚生労働大臣が定めた中期目標で「長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること」が求められています。
すなわち「賃金上昇率+1.7%」です。
米国株やオルカンなどの株式100%の過去実績が5~10%であったことを考えると、かなりリスクを抑えた控え目な目標と言えるのではないでしょうか。
GPIFが公表している過去の運用実績を見てみると、22年間の中で単年で「賃金上昇率+1.7%」の目標を達成できなかったのは6回ありました。
しかし22年間を通じて均してみると、+3.59%ですから運用実績としては大成功と言えそうです。
運用の基本ポートフォリオは?
GPIFのHPには、基本ポートフォリオの考え方として以下のように記載されています。
長期的な運用においては、短期的な市場の動向により資産構成割合を変更するよりも、基本となる資産構成割合を決めて長期間維持していくほうが、効率的で良い結果をもたらすことが知られています。このため、公的年金運用では、各資産の期待収益率やリスクなどを考慮したうえで、積立金の基本となる資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定めています。
長期的な観点からの基本ポートフォリオ策定
そのうえで、運用目標である「賃金上昇率+1.7%」を達成するために現在GPIFが採用しているポートフォリオは、「国内外株式」と「国内外債券」をそれぞれ25%ずつ保有する4資産均等となっています。
この4資産(国内債券、外国債券、国内株式、外国株式)に均等に投資するポートフォリオは、2020年4月からの5ヵ年(2025年3月)の基本ポートフォリオになっています。
それぞれの資産の乖離許容幅を超えた場合にはリバランスが行われ、各資産が25%前後を維持するように運用されています。
とってもシンプル!
224兆円という莫大な資金を運用するにはシンプル・イズ・ベストってことですね。
この姿勢は私たちも見習うべきですね。
良いものは盗む!
さて、とってもシンプルなポートフォリオを運用して、22年間で130兆円以上を稼いでいるGPIF。
リスクを抑えながらも、求められている目標はしっかりクリアーしています。
このポートフォリオを使わないのはもったいない。
4資産均等型の投資信託は?
簡単にGPIFのポートフォリオを真似できる投資信託があります。
それがこちら↓↓
4資産(国内債券、外国債券、国内株式、外国株式)に均等に投資をしてくれて、リバランスもしっかりやってくれます。
売買手数料は無料で、信託報酬も年率0.154%とお安くなっています。
2023年12月末時点で純資産総額393億円で、オルカンなどの超人気ファンドに比べると少ないですが、問題ない規模の投資信託です。
リスクを抑えながらGPIFと同じ運用をしてくれます。
20年で2倍程度になっていることを考えると悪くない投資先かも。
オルカンと現金の組み合わせもあり?!
オルカン推しの私としては、オルカンと現金で作る簡易GPIFポートフォリオがオススメです。
こちらの記事で紹介しましたが、オルカンと現金を50:50で保有するやり方です。
4資産(国内債券、外国債券、国内株式、外国株式)のうち、国内株式と外国株式の部分をオルカンに置き換えます。
債券部分は敢えて商品を購入するのではなく、現金として持っておくことでリスクの低減を図ります。
そして定期的にリバランスを行えば、まさにGPIFの運用を真似することが可能だと考えています。
オルカンは極めて安いコストで保有できるので、こちらの方が結果としては良くなる可能性が高いです。
資産配分で悩む方は是非やってみてください。
稼いでいるなら年金保険料安くして!
こんなに稼いでいるGPIFですが、「毎月の年金保険料を安くします!」ってことにならないのって不思議ではないですか?
130兆円以上も儲けて何に使っているの?
って思いませんか?
何のために運用している?
GPIFが運用している資金は、実は私たちが納めた「年金保険料そのもの」ではありません。
日本の年金は、現役世代が納める保険料でその時々の高齢者世代に年金を給付する「賦課方式」です。
年金は1年間に50兆円以上も給付(お年寄りに支給)されています。
ですのでGPIFが200兆円以上運用したところで、4年位でなくなってしまう金額に過ぎません。
あくまでGPIFは、年金保険料の余剰金を積み立てて運用しているだけなのです。
100年間安心設計!?
こちらの図がわかり易いですが、現在は年金保険料を納める人が多いので、お年寄りにお金を支給しても余りが出ます。
でも、少子高齢化が進む未来においては、年金保険料が足りなくなることが想定されます。
ですので、現在の余ったお金(余剰金)を積み立てて運用し増やすことで、将来不足する年金を補う計画です。
これが100年間安心な年金の仕組みです。
なのでGPIFが何兆円も稼いでいても、私たちの毎月の保険料が安くなることがありません。
(残念ながら。)
私たちの老後と同じ??
しかし、これって私たちがインデックス投資を続けて、資金を増やして、老後に取り崩しを行うことと同じだと思いませんか?
まさに私たち個人がやっていることを、国単位の大きな資金でやっているのがGPIFと言えるでしょう。
最後に
GPIFの運用を確認すると、インデックス投資を行う私たちのまさにお手本ともいえる存在だと気づきます。
この記事を書くにあたってGPIFのHPを確認しましたが、私たちに必要な知識はほとんど網羅されています。
へたな本を買って読むより、無料でGPIFのHPを隅々まで確認する方が有益だと思います。
興味のある人は、一度覗いてみてはいかがでしょうか?
200兆円もあると1%動くだけで2兆円!こんなに運用してたら夜も寝れなそうw
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