私がメインで運用しているのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」通称「オルカン」です。
後輩にもおすすめしています。
その他に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」にも投資しています。
この「eMAXIS Slim(イーマクシス・スリム)」シリーズは、三菱UFJアセットマネジメントが展開しています。
「業界最低水準の運用コストを、将来にわたってめざし続ける」
これが「eMAXIS Slim(イーマクシス・スリム)」シリーズです。
そんな三菱UFJアセットマネジメントが展開しているシリーズに「eMAXIS Fat」があるの知ってます?
eMAXIS Fat!?
実は「eMAXIS Fat(イーマクシス・ファット)」シリーズというのはありません。
正式名称は「eMAXIS(イーマキシス)」シリーズです。
2009年から運用していたものですが、2017年によりコストの安い「Slim」シリーズが設定されたことから、コストの高い「eMAXIS」シリーズは「Fat」と俗称されるようになりました。
このあたりの事情は、三菱UFJの資料にちゃんと記載されています。
eMAXISは 2009 年から運用を開始したファンドシリーズで、設定当初は業界最低水準の信託報酬率でしたが、現在は「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける※3」というコンセプトのもと、2017 年から設定が始まりました『eMAXIS Slim』シリーズと比較しますと信託報酬率が高くなっております。
「「eMAXIS」と『eMAXIS Slim』の誤認購入に関するご注意について」~三菱UFJ国際投信株式会社~
ではどれくらいコストが違うのでしょうか?
SlimとFatのコスト差って?
投資対象指数が、同じ先進国株である2つのファンドを比較してみました。
(ほぼ名前が一緒なのが紛らわしいw)
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
- eMAXIS 先進国株式インデックス
同じ対象に投資しているのにも関わらず、年間の手数料(信託報酬)は約6.7倍もの差があります。
純資産総額は約7倍!
これはFatが不人気というよりも、Slimが爆売れしている結果かと思いますが。
とにかくこのコスト差は無視できないほどの大きなものです。
でもこのコスト差ってどこから来るんでしょうか?
この信託報酬率の違いは(中略)、eMAXIS(除くeMAXIS Slim)はオンライン取引のみならず対面販売でも※4ご購入が可能となっており、必要に応じて販売担当者から印刷物を使いながらの説明を受けられるファンドであること等の印刷コスト等を加味した信託報酬率体系となっていること、などから生じております。
「「eMAXIS」と『eMAXIS Slim』の誤認購入に関するご注意について」~三菱UFJ国際投信株式会社~
販売担当者が、紙の資料をもって説明を行う。
昔ながらの営業を行うと、これくらいのコストが必要ってことですね。
運用の差は?
過去5年の騰落率を比較します。
数か月や1年では微々たる差でしかないですが、5年も経つとやっぱり無視できない差です。
100万円を運用したとすると、5年間で約6万円の差がつくことになります。
もう一度言いますが、これら2つのファンドは全く同じものに投資してますからね。
ちょっと細かい話なんですが、ファンドの「交付目論見書」てのを確認するとちゃんと書いてあります。
上がFatで下がSlimです。同じマザーファンドに投資しています。
よくある話
実はこのように、実質的に同じものに投資している新しいファンドを、低コストで設定するということはよくあるんです。
最近、楽天投信投資顧問が設定した2つの新規ファンドがあります。
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド (信託報酬:0.0561%)
- 楽天・S&P500インデックス・ファンド (信託報酬:0.077%)
ともに極めて低コストの素晴らしいインデックス・ファンドです。
しかし、楽天には同じカテゴリーで、とっても売れているファンドがあるのです。
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド (0.192%)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド (0.162%)
いわゆる楽天VTと楽天VTIです。この2つのファンドはとても人気です。
楽天VTは3800億円、楽天VTIは1兆1800億円も売れています。
私もつみたてNISAでは、楽天VTIを購入しました。
厳密に言うと、これらのファンドは投資先の指数が異なります。
(全世界:ACWIとFTSE、アメリカ:S&P500とCRSP)
しかし、以前から保有しているユーザーからすると、「新規設定も良いけど保有中のファンドを値下げしてよ~」となります。
でも、してくれないんですよね・・
乗り換え問題
同じ(ような)投資対象に関して、コストのより低いファンドが新設された場合に、古いファンドを売却して新規に購入した方がよいのか?
所謂、乗り換え問題が発生します。
長期に資産運用をするインデックス投資家としては、ちょっとのコスト差は大きな問題です。
本心としては、古いものを売って、新しい低コストなものに乗り換えたいです。
でも、特に儲かっている時(含み益がある時)が悩みどころ。
コスト差以上に税金で損をする可能性があるので注意が必要です。
私としては、①含み損ありの場合は、そもそも税金が発生しないので即乗り換えます。
②、③元ファンドの信託報酬が0.5%を超えるものは、やはり今の時代高すぎます。
しかし、楽天の場合のように2つのファンドのコスト差がそこまで大きくなく、かつ十分に低コストであるならば、乗り換えはしないでそのままとします。
最後にNISA口座に移す目的であるならば、移したあとは税金の問題に悩まずに済みますので、乗り換えを選択したいです。
これから始める人はラッキー
私のように、15年以上資産運用を続けてくると、これから始める人って本当に恵まれているなあと羨ましくなります。
インデックス・ファンドのコストはどんどん安くなっており、今や世界最安なのが日本のインデックス・ファンドです。
特に、「業界最低水準の運用コストを、将来にわたってめざし続ける」と宣言している「eMAXIS Slim」シリーズであれば、今後も世界で最も安くインデックス投資ができるはずです。
でも間違っても「Fatシリーズ」は買わないでくださいね。
参考:三菱UFJ国際投信株式会社
「「eMAXIS」と『eMAXIS Slim』の誤認購入に関するご注意について」
いまだにFatシリーズの純資産が増えているのにびっくり!誰が買っているんでしょ??
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